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ほんの悪戯心から始めた鬼ごっこ。終わりまであと10メートル。 青い悪魔はわざとゆっくり歩を進める。 その遅さがわたしの心を掻き乱すのだ。 早くここへ来て欲しい、可能な限りどこまでも早く! コツ あのひとは、いつでもどこでもどんな状況にあっても、わたしをきちんと見つけてくれる。 その証拠にほら、あの硬質なブーツの音がどんどん近付いてきている。 正確に、一直線にわたしの方へと向かって。 悪魔にとっては死へのカウントダウンでしかないその音も、わたしにとっては福音を告げる天使の鐘のよう。 コツ こうして息を潜めて瓦礫の下に潜り込んでも、 コツ 水の中に落ちてしまっても、 コツ たとえ地獄の窯の中へだって、彼はわたしを見つけて迎えに来てくれるだろう。 コツ ああ、あの足音が近付く度にわたしの心臓が張り裂けそうだと悲鳴をあげる。 いつかきっと本当に破けてしまって、真っ赤な血を撒き散らせながら死んでしまうかもしれない。 (だめだ、死んでしまっては彼の腕に抱かれることができない) コツ 翻る青いコートが瓦礫の隙間からちらりと見える。 5、4、3、2、 終わりまで残り1メートル。 「、帰るぞ」 差し出されたその手の、なんと愛しいことか! 1メートル |