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今日の予定。 いつもは一人で行っている、大通りのカフェでブランチ。 最近できたという大通りにあるお店で買い物。 小腹が空いたら、週末にだけ出ているアイスクリームの屋台でラズベリーとクッキーアンドクリームのダブルアイス。 夕飯の買い物をして、ディナーにはバージルの好きなものを。 幸せな週末。 「ねえ」 未だシーツに沈んだまま目を覚まさないバージルの肩を乱暴に揺り動かす。 そろそろ彼の眉間の皺も深くなってきた。見慣れた光景だ。 バージルはいつも眉間に皺を寄せて、わたしのすることに何かしら文句をつけている。 「ちょっと。ねえ、起きてってば」 さらに強く揺り動かすと、バージルはわたしの手を振り払って寝返りをうった。 おまけにシーツを引き掴んで潜ってしまう。これは驚いた。あのバージルがこんな子供っぽい真似をするとは。 どうやらこの男、起きる気は微塵もないらしい。シーツの上をぼんぼんと叩いて、猶も呼びかける。 「今日は一緒に出かけてくれるって言ったでしょ!起き…」 「中止だ」 たった一言。 わたしが苦労して取り付けてこの一週間ずっと楽しみにしてきた約束も、バージルにとっては所詮その程度のことだったらしい。 なんて腹立たしい。というか、悔しい。 明日はバージルと一日中一緒に居られるのだと思って、昨日はあまり寝られなかった。そりゃあもう心の底から楽しみにしていたというのに! 「……そう」 なんだかもう何もかもがどうでも良くなって、溜息をついた。 新調したワンピースも台無しだ。ついでに、今日一日の予定も全て無くなった。 楽しい週末からつまらない日曜日へ一気に転落。 気分も急降下。 その原因を作ってくれた男はシーツの中で幸せな朝寝坊。 「楽しみにしてたのに」 恨みがましく呟きながら、バージルが呼吸をする度に上下するシーツの上を指先でなぞる。 「バージルと」 「一日中一緒にいられると思って」 「………」 もう一度溜息をつく。我ながら諦めの悪い言葉だ。彼がそういうものに心動かされないことは経験上分かりきっていることだというのに。 仕方ない、今日は部屋の掃除でもして、図書館から借りていた本を読んで過ごそう。 そう思ってベッドに背を向けた。 「」 一歩踏み出そうとした時、物凄い力で腕を引っ張られ背中に衝撃を感じた。 一瞬遅れて、ベッドに引き摺りこまれたということに気付く。 「な、な」 驚きで声の出ない私を無視して、バージルは私を抱きこんだ。 シーツはバージルの体温に温められて心地の良い温度。彼の匂いがいっぱいに広がって、顔が赤くなるのを感じた。 「一緒にいたかったんだろう」 目の前のバージルの顔が丁度悪戯が成功した子供のような笑顔に変わる。 お前も一緒に寝ればいい、そう言ってバージルはわたしの額に口付けを落とした。 心臓が耳のところで鳴っているのかと錯覚するほどうるさい。 それを誤魔化すために、服がしわになるよ、と文句を言った。 バージルは喉の奥で笑って、抱きしめる腕の力がほんの少し強くなった。 今日の予定。 愛しい悪魔の朝寝坊に、彼の気が済むまで付き合ってあげること。 以上。 所詮私の全ては彼を中心に回っ ていて、それを理解している悪 魔はいつだって自分勝手だ けれどどうあってもその我儘を許してしまうわたしも相当いかれているのだろう。 |